鴛鴦物語

それから、一年の歳月が流れ・・・・

忠左衛門は、再び白木橋の側に狩りに出かけ、今度は鴛鴦の雌鳥がいるのを見つけ、これに矢を射かけた。

雌鳥はこの矢を受けて射落とされたが、忠左衛門がその雌鳥を拾い上げると、 なんと、忠左衛門が昨年射止めた雄鳥の頭が雌鳥の羽の下から出てくるではないか。

 この時、忠左衛門は、昨年の夢にて出来た女性がこの雌鳥であること、そしてこの雌鳥は、雄鳥の頭をずっと持ち続けていたことを知り、いかに鴛鴦の絆が深かったのか、自分が行ったこれらの殺生がいかに罪深いものであったのかを悟り、これをひどく後悔した。

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